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2008'11.20 (Thu)

『暗い海深い霧』高城高

 高城高全集第3巻。

 この巻には13編収録。冒頭の表題作でがっつり掴まれました。この感じ、誰かに似ている…淡々と雪が積もっていくようで、でも沈んでいくような…ああ誰に似ているんだろう。表題作はスパイものです。でもスパイ合戦みたいなエンタメではないです。貧困の中でスパイに仕立てられソヴィエトに抑留された柾木。彼は潜入していた国後島で同僚の男を殺したとされているが、帰国後一切語らなかった。釧路にやって来た彼の目的は…というあらすじですが、もう字を追いかけずにいられない。もう一つ冷戦時代の情報戦を描いた「海坊主作戦」がありますが、これは短い映画になりそう。珍しく銃撃戦もありますが、星野が裏切り者を見つけるときの会話に妙にゾクゾクしました。タイトルはなんですが、珍しくエンタメ要素あり。札幌にもこういう時代があったのだという、今では遠い昭和の側面を感じることができる作品でした。モデルになって人物がいるそうです、ふ〜ん…

 「微かなる弔鐘」は新聞記者らしい話。おお、ここまで書いて気が付きました。話によっては横山秀夫に似ている!横山秀夫は感情を「押し殺し」ているような感じで、高城高は「排除している」感じかな。新聞記者が警官たちより先に手がかりに辿り着いていくところが、妙にリアル。「アイ・スクリーム」は哀しい話でした。「追いつめられて」「冷たい部屋」は今でも使えそうなミステリらしい話。

 読み始めると止まりません。しかもこの辺まで来ると文章がもう馴染んでしまって。
 あ〜買おうかな…。かなり気に入っています。もうすぐ4巻目が出るみたいですが、完結巻なので出てほしくない気持ちでいっぱいです。

暗い海深い霧 (創元推理文庫 M こ 3-3 高城高全集 3)暗い海深い霧 (創元推理文庫 M こ 3-3 高城高全集 3)
(2008/08)
高城 高

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