『顔のない敵』石持浅海
2007/11/30 (金) カテゴリー/小説(一般書)
地雷にまつわる小説を集めた連作短編集。
「地雷原突破」…1996年、地雷除去のNPOで活動している坂田はキャンペーンのためブリュッセルにいた。市民集会で地雷の危険性を訴えるイベントをしていたのだが、セットで組んだ地雷原に足を踏み入れたサイモンが爆死したのだ。地雷はすべて芯が取り除かれていたはず…。帰国していた坂田から話を聞いた早瀬は、事件の真相に気がつく。
「利口な地雷」…1997年、ルポライターの永井綾子は陸上自衛隊の小川に誘われ、新しく開発されたスマート地雷の性能を確かめに安永工業を訪れた。その性能を確かめた後、倉庫に入った安永工業の社員がトラップを使って殺された。彼はなぜ殺されたのか、小川が真相を解明する。
「顔のない敵」…1993年、カンボジアの地雷除去現場で、地元の有力者の息子が地雷原で死亡しているのが見つかった。彼はなぜ立入禁止の現場に足を踏み入れたのか。混乱が続くカンボジアで起こった悲劇。これは「地雷原突破」の坂田とNGOのメンバーが出てきます。
「トラバサミ」…2006年、警視庁の久山はある交通事故の被害者のことで自衛隊の小川の元を訪れた。その被害者がどこかに「トラバサミ」を仕掛けたと予想されるのだが、その場所の検討が全くつかないため、自衛隊の小川の知恵を借りに来たのだ。話を聞いて、小川が向かった先は。「利口な地雷」の小川一尉再登場。
「銃声でなく、音楽を」…1991年。サイモンと坂田がスポンサーを得るために、ロンドンの会社を訪れる。しかし会議室に向かう途中で、銃声が聞こえ、その部屋には社長と撃たれた死体しかいなかった。そして犯人はいない。社長はそのまま話を続けるようにという。なぜ社長は通報を拒むのか。殺されたサイモン君、登場。
「未来へ踏み出す足」…200X年、安永工業などが共同開発した地雷除去ロボットがカンボジアで試運転をすることになり、ルポライターの綾子も同行する。実験は成功したが、翌朝安永工業の社員弓削が頭を接着剤で固められて殺された。「顔のない敵」で登場したカンボジア人のコン・ソルンが大人になって再登場。
「暗い箱の中で」…これだけ地雷シリーズではありません。
退職する同僚と飲み会に行こうとしたところ、肝心の割引券を会社に忘れたため取りに戻ることになった4人はエレベーターに乗り込む。ところが地震が起きエレベーターが停止し、停電になってしまう。そしてわずかな間に1人が殺されてしまう。犯人は3人のなかの誰か。暗闇の小さな密室で起きた殺人事件。
以上、これで私の石持祭は一旦終了。といっても来月新刊が出るけれど。
「未来へ踏み出す足」はベスミスに収録されていたので既読でしたが、これは全作読んだ方がいいですね!多分コン・ソルン少年がこの物語の主人公なのかも。地雷の被害者である彼が、事件をきっかけにジムとマーガレットという2人の良識ある人間に育てられることになり、その彼が冷静に事件を解決し、犯人を救うことも出来た…って大河ロマン(笑)。そんな物事都合よく運ぶとは思えませんが、地雷除去活動が彼の支えになったのは間違いないわけで…トリックとかそんなもの関係なく泣けた……。トリックについては「……」というのもあるので、割愛。
あと日本で活躍するのは小川一尉ですが、シブイ…(笑)。こんな友人か上司が欲しい!(切実)。物語の仕立てとしては「トラバサミ」が一等好きです。特定の犯人を狙ったわけではないけれど、犯人が確実に狙った人物に罠をかける…という過程が見事だし、推理の過程もよかった。『心臓と左手』の座間味くん状態です。しかし、この人すごい極悪かも…。極悪…というか、「利口な地雷」で”次の罠に期待していますよ”ってどういうことよ!(意味は分かるけどさあ)。その判断は正しいの〜??珍しく不条理に思えました。
でも物語としては「顔のない敵」かな。なぜ彼が殺意を抱いたか…というのが、一人の人間の感情を超えたものだったから。それまで犯人がいなかったのに、とある出来事で突然「犯人」が出て来てしまうというのはタイトルの「顔のない敵」と見事に重なっています。
「地雷原突破」…1996年、地雷除去のNPOで活動している坂田はキャンペーンのためブリュッセルにいた。市民集会で地雷の危険性を訴えるイベントをしていたのだが、セットで組んだ地雷原に足を踏み入れたサイモンが爆死したのだ。地雷はすべて芯が取り除かれていたはず…。帰国していた坂田から話を聞いた早瀬は、事件の真相に気がつく。
「利口な地雷」…1997年、ルポライターの永井綾子は陸上自衛隊の小川に誘われ、新しく開発されたスマート地雷の性能を確かめに安永工業を訪れた。その性能を確かめた後、倉庫に入った安永工業の社員がトラップを使って殺された。彼はなぜ殺されたのか、小川が真相を解明する。
「顔のない敵」…1993年、カンボジアの地雷除去現場で、地元の有力者の息子が地雷原で死亡しているのが見つかった。彼はなぜ立入禁止の現場に足を踏み入れたのか。混乱が続くカンボジアで起こった悲劇。これは「地雷原突破」の坂田とNGOのメンバーが出てきます。
「トラバサミ」…2006年、警視庁の久山はある交通事故の被害者のことで自衛隊の小川の元を訪れた。その被害者がどこかに「トラバサミ」を仕掛けたと予想されるのだが、その場所の検討が全くつかないため、自衛隊の小川の知恵を借りに来たのだ。話を聞いて、小川が向かった先は。「利口な地雷」の小川一尉再登場。
「銃声でなく、音楽を」…1991年。サイモンと坂田がスポンサーを得るために、ロンドンの会社を訪れる。しかし会議室に向かう途中で、銃声が聞こえ、その部屋には社長と撃たれた死体しかいなかった。そして犯人はいない。社長はそのまま話を続けるようにという。なぜ社長は通報を拒むのか。殺されたサイモン君、登場。
「未来へ踏み出す足」…200X年、安永工業などが共同開発した地雷除去ロボットがカンボジアで試運転をすることになり、ルポライターの綾子も同行する。実験は成功したが、翌朝安永工業の社員弓削が頭を接着剤で固められて殺された。「顔のない敵」で登場したカンボジア人のコン・ソルンが大人になって再登場。
「暗い箱の中で」…これだけ地雷シリーズではありません。
退職する同僚と飲み会に行こうとしたところ、肝心の割引券を会社に忘れたため取りに戻ることになった4人はエレベーターに乗り込む。ところが地震が起きエレベーターが停止し、停電になってしまう。そしてわずかな間に1人が殺されてしまう。犯人は3人のなかの誰か。暗闇の小さな密室で起きた殺人事件。
以上、これで私の石持祭は一旦終了。といっても来月新刊が出るけれど。
「未来へ踏み出す足」はベスミスに収録されていたので既読でしたが、これは全作読んだ方がいいですね!多分コン・ソルン少年がこの物語の主人公なのかも。地雷の被害者である彼が、事件をきっかけにジムとマーガレットという2人の良識ある人間に育てられることになり、その彼が冷静に事件を解決し、犯人を救うことも出来た…って大河ロマン(笑)。そんな物事都合よく運ぶとは思えませんが、地雷除去活動が彼の支えになったのは間違いないわけで…トリックとかそんなもの関係なく泣けた……。トリックについては「……」というのもあるので、割愛。
あと日本で活躍するのは小川一尉ですが、シブイ…(笑)。こんな友人か上司が欲しい!(切実)。物語の仕立てとしては「トラバサミ」が一等好きです。特定の犯人を狙ったわけではないけれど、犯人が確実に狙った人物に罠をかける…という過程が見事だし、推理の過程もよかった。『心臓と左手』の座間味くん状態です。しかし、この人すごい極悪かも…。極悪…というか、「利口な地雷」で”次の罠に期待していますよ”ってどういうことよ!(意味は分かるけどさあ)。その判断は正しいの〜??珍しく不条理に思えました。
でも物語としては「顔のない敵」かな。なぜ彼が殺意を抱いたか…というのが、一人の人間の感情を超えたものだったから。それまで犯人がいなかったのに、とある出来事で突然「犯人」が出て来てしまうというのはタイトルの「顔のない敵」と見事に重なっています。
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